備中松山城の城主も務めた江戸時代初期の大名茶人・小堀遠州。桂離宮や仙洞御所の作庭にも携わったとされるこの人物が、高梁の地に代官として赴任していた際に手がけたと伝わるのが、頼久寺庭園です。国の名勝にも指定されているこの庭は、サツキの大刈込みを波に見立て、その中に鶴島・亀島を配した、遠州好みの意匠が今もそのまま残されています。
本堂の縁側に腰を下ろし、庭全体を眺められるように設計されているのも特徴。愛宕山を借景に取り込んだ構図は、限られた敷地の中に壮大な景色を凝縮させる、日本庭園ならではの美意識を体感できます。
サツキの大刈込みの庭園写真訪れて感じたこと
縁側に腰かけて庭を眺めた瞬間、丸く刈り込まれたサツキの連なりが本当に波のように見えてくることに驚きました。花の季節にはこのサツキが一斉に咲き誇り、緑の波が薄紅色に染まるそうですが、花のない季節でも刈込みの造形美だけで十分に見応えがあります。静かな本堂で、時間を忘れて庭を眺め続けてしまいました。
備中松山城や石火矢町の武家屋敷町とあわせて歩くと、高梁という町が持つ江戸文化の厚みをより深く感じられます。観光地としての派手さはないぶん、じっくりと庭と向き合う贅沢な時間を過ごせる場所です。
見どころ
小堀遠州、初期の名園「鶴亀の庭」
作庭家としても名高い小堀遠州(遠江守政一)が、備中松山で政務を執った1604〜1619年ごろに手がけたと伝わる、遠州初期の作。禅院式枯山水の蓬莱庭園で、俗に「鶴亀の庭」と呼ばれ、国の名勝に指定されています。白砂に石を組んだ鶴島・亀島の蓬莱石組が見どころです。
愛宕山を借景に、サツキの大刈込みが描く大海
遠く望む愛宕山を庭の一部として取り込む借景の手法に加え、山畔に沿ったサツキの大刈込みが大海の波を表現。白砂の波紋と刈込みが重なり、限られた敷地に雄大な海の景をつくり出しています。サツキの見頃は初夏です。
縁側から眺める静かな時間
本堂の縁側に腰かけて庭全体を眺められる設計。せわしなさから離れて、ゆっくりと庭と向き合える貴重な時間です。






訪れるときのメモ
サツキの見頃は例年5月下旬〜6月頃ですが、刈込みの造形自体は一年を通じて楽しめます。境内は静かな参拝・拝観の場のため、大きな声での会話は控えめに。石火矢町ふるさと村や備中松山城とあわせて、高梁の歴史散策コースとして1日かけて巡るのもおすすめです。
情報確認:2026年8月 ※拝観時間・拝観料などは変わることがあります。おでかけ前に、公式情報での最新のご確認をおすすめします。

